靴屋の靴は穴だらけ。

京都・靴工房かたつむりの日記

素敵な靴は素敵な場所に連れていってくれる。さあ、あなたも自分の靴を作ってみよう!

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「こんにちは〜」と教室に来た生徒さんの足元が自分で作った一足目の靴だったので嬉しくてパチリ。
さあ、ちょっとブログの間隔があいてしまって久しぶりに書いています。
お伝えしたいあれやこれやが多すぎて、一気に全部は書ききれない。。うう。。

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ハイライト的な私の印象として
ベビーのお問い合わせがちょっと増えてきています。
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端革ボックスを広げてなにやら楽しい色選び。
娘さんの名前にちなんだイメージカラーを中心にパッチワークしたい、と
気になる革を持って帰って、お家でごにょごにょイメージ固めしてくることに。
保育園のお迎えの時間があるので、30分早く切り上げます。
忙しいお母さん、教室の設定時間にバッチリ3時間はまらなくても大丈夫!
通った合計の時間でちゃんと計算します。お子さんの都合で細切れになるとしても、
興味があったらお気軽にお問い合わせくださいね。

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こちらも、
この子には絶対この色が似合う!
と迷いのないお母さん。ママの手元が気になるね。もうちょっと待っててね〜

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さて、かたつむりでは初めての男性の作るベビーシューズも。
内外で違う木型の立体に、フリーハンドで引いたデザイン線をはがして平面化したら、
ほぼドンピシャで一致したのでたまげました。
集中し、正確に手が動き、私の繰り出す「こうやることとこうやることの難易度の違い」という言葉に物怖じしない。むしろ「難易度」という言葉に燃えてしまう。
いいですね〜 楽しみです。

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うちの子供が履きつぶしたボロボロのサンプルしかないけれど、机の上に広げてあーでもないこーでもない、みなさんあれこれイメージを広げて自分の手を動かし始めます。
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さて、ベビーというにはもうちょっと大きくなってしまって、幼児になってしまったウチの3歳の息子。
10月だ!運動会だ!
ということでこんなイケイケキラキラシューズを頑張って作ったわけですが…

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なんか違う。イヤや。
とのたまわった。
「黄色と紫がいい。」(←いや、聞いてないから。キラキラと青と緑がいいって、一緒に全部革サンプル見ながら選んだじゃないか)

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で、
もう知らん!このやろー  
ということで、こども靴としてなんとなく封印していた真っ黒な革にゴールドのカシメ、という彼の意を全く無視したリベンジ2足目。
アルファベットのカシメ(そんなのがあるんですよ。)で息子の名前を入れてやろうとしたら、
頭文字のGがない。反対足には 運動会だしGO GO! って入れようと思ってたのに、合わせて3つもGが足りない。で、ゴールドの革をチビチビ切り抜く。。
意外と子供の靴を作る時にいつも詰めが甘い。

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が。
意外と気に入って「黒で行く!」と飛び出していきました。
こども心と秋の空。。
靴気に入らなくて1人裸足で運動会だったらどうしよう、と思ってたのでよかったです。
(まあ、裸足大好きな人たちが集まる工房、1人裸足で走ってもカッコよかったかもですが。笑)

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楽しそうだ!
この写真一枚あれば母は満足。

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閑話休題。
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お教室の生徒さんの靴作りも各自どんどん進んでいます。
工程が進む度に選択を迫られることばかり。
この生徒さんは、ヌメ革で作るので、日に焼けて経年変化した時の色が今と全然変わってくるので、
そこを想定してのミシン糸の色選びにひとしきり悩み中。

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工房のスリッパ裏に貼ったものと同じ革。
あっという間にこれだけ変化するのでね。なんともいい飴色になってます。
(久しぶりにひっくり返してマジマジ見ました。)

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こちらの生徒さんは、押しブチを付けるか付けないか、
それが問題。一週間持ち帰って悩んできました。
全然印象が変わります。

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さて、そんなそんな、長い長い道のりのゴールを迎えた生徒さんも!
最後の踵の仕上げのコテを当てて。。

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木型を抜きます!
もう、嬉しさがはみだして抑えきれません。

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長かった。。ハードなお仕事で1ヶ月丸々通えなかった時期もありました。
色んなことを乗り越えて嬉しい瞬間です。

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と、そこにもう一人完成間近な生徒さんが。。
バッテンサンダルですが、ムートンを細工したり、

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持ち込みのテロテロの化繊の布が下のスポンジの凹凸をクッキリ拾いすぎてしまったために丁寧に細工し直したりと、とにかく自分のやりたいことをてんこ盛りした結果、バッテンこれまで最長の6コマを使う、という力作。
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完成!
裁縫好きなお母様のストックから引っ張り出してきたなんともサイケデリックなベースの布。
どこの国かわからないけど、エスニックな雑貨屋で買ったチロリアンテープ。
工房のムートンやゴールドの革。
どこにもないオリジナルな一足。

「かわいい〜‼︎ どこかのお洒落なセレクトショップとかに置いてありそう。」などと女子で褒め合い、
隣で仕上げ作業していた男子に「どう?かわいいよね。」と振ったところ、

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「いやあ。僕には正直よくわからないですぅ〜」
とニベもなく。
自分の靴をニマニマと磨き、靴紐を通し。。

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「男子にはわからないんですっ!」
と、ニコニコこちらもあまり気にしていない。
嬉しくて写真撮ります。

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男子も履いてみる。
革靴でこんな足に合ったことない。。
と、嬉しさが止まらない。
いい靴になりました。

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と、それを見た女子が
「本当にステキです!つま先のオデコが持ってあるのもかわいいし、すごくいいです!」
とやられてもやり返さない懐の深さで、ストレートな褒め言葉を連発。
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(おほっ。マズイ。。
が、嬉しい。。さっき自分もサンダルのこともっと何か褒めておけばよかった。。)
と絶対思ったはず。笑

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上がったテンションは下がらない。
「履いて帰ります。こんな日にしょーもないジーパン履いてきちゃって。。
この足でこの靴に合うズボン買って帰ります」

ついでに言うと、靴下も買っとこう。
あえてボケた写真を使いましたが、なんともいえない色味のミックス調の靴下をお召しで。笑

みんな、靴出来上がりそうな時はキメキメの靴下履いてきてね。
彼みたいに、意外と「あれあれ⁈ 今週⁈」ってスピード感のこともあるから要注意です。

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「いや、僕、このリュックもやばいですよね〜」
いや、リュックのことまで気になりだしたか。
私にはリュックのことまでよくわからんが、ついでに買うなら買っといで。

素敵な靴は素敵な場所に連れて行ってくれる

という諺がありますね。

彼はとりあえずどっかのズボン売り場に向かったわけですが、
あなたの靴はあなたをどこに連れて行ってくれるかな。

完成おめでとう!